6月 04, 2023

フィンランドのアーティスト紹介:
トゥイヤ・ヘイッキネン

フィンランドのアーティスト紹介:<br>トゥイヤ・ヘイッキネン

TUIJA HEIKKINEN

テキスタイル・デザイナー

Photos by Tuija Heikkinen(クレジットがあるものを除く)

 

トゥイヤ・ヘイッキネンは、北極圏にほど近いフィンランド北部のロヴァニエミの出身です。ファッションとテキスタイルデザインを学びましたが、その他さまざまなアートやクラフトも大好き。現在は美術工芸学校の教師として働きながら、同時にプリントテキスタイルを中心とした小さな会社を経営しています。

趣味のかぎ針編みは、プリントテキスタイルの仕事以外に新しい表現方法を探していたとき、偶然始めたものだそう。かぎ針編みを仕事にしていた祖母の姿を幼少期から見ていたので、かぎ針は身近でしたし、シンプルなかぎ針編みが生み出す限界と可能性も理解していました。そのかぎ針をペンのように、糸を絵の具のように使って自身の創作意欲を満たそうとしたのです。

彼女にとって、かぎ針で編むのは、まるで日記を書いたり、スケッチブックに絵を描いたりするようなもの。テーマを決めたあとは、スケッチは描かず、針をただ動かすだけ。自身の人生、その時の気分、目にした自然、そして興味を表したカギ針編みのメモを作っていくのです。彼女は自分の作品を「かぎ針写真」「かぎ針スケッチ」「かぎ針イラストレーション」と呼ぶことがあります。自分の直感を頼りにし、それを信じて編むこと。そのプロセスそのものが、彼女の本当の楽しみなのです。

彼女のインスピレーションの源は身近なところにあり、日常生活やアート、デザイン、ファッションなど多くのクリエイティブな分野からテーマを選んでいます。時には、毛糸玉の色やキッチンテーブルの花束からインスピレーションを得ることも。彼女のかぎ針編み作品は、小さな物語のようにも見えます。

手を動かして仕事をすることは、彼女の生き方そのものでもあり、それを職業にできたことを幸運に思っています。彼女が作品を通じて伝えたいのは、創作や制作の楽しさと、物事はさまざまな方法で行えるのだということ。日記やイラストは、必ずしもペンで描かなくていいのです。これからも表現のための新しいアイデアやテクニックを探し続けたいと願っていますし、柔らかい頭で考え、遊び心を持ち、失敗を恐れないよう、みなさんを鼓舞していきたいと思っています。

 

Instagram: @tuijaheikkinen

 

Photo by  Jani Mikkola