6月 04, 2023

フィンランドのアーティスト紹介:
エイヤ・コスキ

フィンランドのアーティスト紹介: <br> エイヤ・コスキ

EIJA KOSKI

Himmelist

 

ヒンメリは、ライ麦の藁で作られるフィンランドの伝統的な立体オーナメントです。天井から吊るされ、その形は常に左右対称。その幾何学的なオーナメントは軽く、空中で揺れ動きながら、まるで生きているような印象を与えます。昔からヒンメリのゆらゆらした動きは幸運の象徴と言われており、重い糸で動きを妨げてはいけないのだそう。ヒンメリはクリスマスと結びつけられることが多いですが、生まれたばかりの赤ちゃんや結婚するカップルへのプレゼントとしても贈られてきました。

エイヤ・コスキが初めてヒンメリに出会ったのは、10歳の時。一目でその魅力に取りつかれました。そのヒンメリは彼女の叔母が作ったもので、農家の片隅で天井から吊るされていました。その時、部屋ではたくさんの人が大声でおしゃべりしていましたが、ヒンメリを見つめる彼女には何も聞こえていませんでした。子供の目には、それは魅力的で金色に輝いて見えたのです。

大人になった彼女は大学で経済を学び、そこで将来の夫となるカリと出会いました。カリは有機農家でした。つまり、ライ麦の藁が彼女の人生に再び戻ってきたのです。エイヤは前途有望なキャリアを捨て、ヒンメリの道を夫とともに歩むことを決めました。それから10年後、彼女は変わらずヒンメリに魅了され続けており、4冊の本を書き上げていました。本は6ヶ国語に翻訳され、うち1つは日本語です。ヒンメリ作りは、彼女の天職でした。

ヒンメリは幾何学的で美しい、"数学の言葉"で彼女に語りかけてくるそうです。その時に、ライ麦の藁は重要な要素になります。本物の素材を使うことによって、幾何学的な神聖さが立ち現れるといいます。

"ヒンメリ大使"を名乗るエイヤ。ヒンメリは世界中で知られていますが、中でも日本での人気はとても高く、彼女はワークショップや展覧会の開催のため度々日本を訪れてきました。また、ヒンメリ発祥の地であるフィンランドにも世界中から人々が訪れており、彼女とカリはフィンランド西部に農場を持っていて、週末にはそこでワークショップを開催しています。

また、彼女は編み物が大好きで、自分で洋服も作っています。ヒンメリ作りは、編み物に似ているそう。共に構造はとてもシンプルですが、パターンの繰り返しは瞑想的で、安らぎや落ち着きを与えてくれるのです。

 

Website: ekoart.fi
Instagram: @eijakoskihimmelist

Photos by Eija Koski