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初心者スタッフの疑問をトクコ先生に質問していくシリーズ、Knitting for Beginners!
「ゲージの回を設けたい」とのトクコ先生の強い希望があり、第5回は、とにかくゲージが大切!ゲージを取りましょう!というお話です。
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ビギナーの皆さんからの質問も引き続きフォームより受け付けています。
質問1:なぜゲージについて詳しく話したいと思ったのですか?
ズバリ、ゲージを取らない人がたくさんいるから!ゲージの意味をきちんと理解してほしいからです。
ゲージを取るというのは、スワッチを編んで、10cm×10cmに何目何段が入っているかを確かめる作業です。デザイナーはパターンを書く際、必ず自分が何目何段で編み地を編むのか、まずゲージを取ってみて、それを元に全体の大きさを計算しています。ゲージを取らずに編み始めると、デザイナーが一生懸命計算して作った理想の形にならず、小さすぎたり大きすぎたりするという悲劇が発生してしまいます。悲しいですよね。
質問2:ゲージを取るのを面倒に感じてしまいます。5cm×5cmでゲージを取り、計算で2倍にしたらダメでしょうか?
気持ちはよく分かりますが、初めはきちんと10cmで取りましょう。
編み始めや編み地の端の部分は目が安定しないので、確実性を高めたい場合は15cm×15cm編んで、その真ん中を測るのが理想です。
慣れている方は5cm×5cmでもいいでしょう。
質問3:目数と段数どちらかだけ合わない時はどうしたらいいですか?
段数が重要なものとそうでないもの、パターンによりけりなので答えるのが難しいです。
横編みのデザインの場合は、しっかり段数を合わせる必要があります。トップダウンやボトムアップのデザインの場合は、とりあえず目数を合わせておき、段数は編みながら調整してもいいでしょう。しかし増目や減目がある場合は、そのタイミングに注意が必要です。闇雲に段数をいじると、トップダウンセーターのラグラン増目のタイミングが合わず変な形になってしまう、全体のバランスがおかしくなってしまう…そんな可能性があります。対処法は計算し直すしかありません。なので、やはりなんとか目数も段数もゲージを合わせるのが一番いいです。
そこで初心者の方にオススメしたいのが、自分とゲージが合うデザイナーを見つけること。「この人ならいつもゲージが合う!」という相性の良いデザイナーが必ずいるはずです。一般的に、女性よりも男性の方が力があるので手がきつめです。また、フランス式よりアメリカ式の方がきつくなりがち。「こんなにきついゲージ、出るわけない!」と思ったら、おそらく編み方が自分と違うのでしょう。残念ながらそのデザイナーとは気が合わないということです。レベルアップしてから、その人のデザインに挑戦してください。
質問4:ゲージを合わせるため針の号数を上げ下げする時、1号ずつ変えてみますか?
1号どころではあまり変わらないので、思い切って2号くらい変えてみることをオススメします。
ただとても残念な話ですが、ゲージを取ったからといってゲージ通りに編める人はほぼいないんです。気が緩むと変わってしまうものなので。それならゲージを取る意味ないじゃん!と言われますが、そんなことはありません。
自分の癖を知るためにゲージを取ってほしいのです。
私はゲージよりも実際の編み地が必ず緩くなります。小さい四角を編むと、手が緊張してキツくなるようです。だから、ゲージを取った結果よりも実際は1~2目緩くなるだろうなという気持ちで編み始めます。
指定のゲージは22目で、ゲージを取ると24目だった。
→この場合は、実際は22目になるから問題ないなと考えます。
ゲージを毎回取るのは、自分の癖を知るため。ゲージと実際の編み地の差を知ることで、自分の思ったサイズを作れるようになります。必ずゲージをとってください!!!
質問5:ゲージを取ったスワッチは、解かずにおいておき、実際の編み地と見比べますか?
自分がデザインするものの場合は、必ず取っておきます。他の方のパターンを編む時は、私はおいておきません。
最初はおいておくと安心だと思いますが、慣れればなくても大丈夫。慣れると、編んでいる途中に針をどんどん変えてちょうど良いゲージになるよう調整することもできるようになりますよ。
質問6:メリヤス編みのスワッチがくるくるします。端をガーター編みして、平らにした方がいいですか?
伸ばして測ればいいだけなので、くるくるしていても問題ないです。私は気にしません。
やってはいけないのが、忖度すること。ちょっと引っ張ってみたり、縮めてみたり。指定のゲージに近づけたい一心で、ほんのちょっと動かしてしまう人が多いです。しかし、それはダメです!そのままおいてみて、そのまま測る。それが鉄則です。
質問7:スワッチは水通しをしてからゲージを取りますか?
水通しで縮んだり伸びたりする糸があります。私は、自分でパターンを書く時、水通しで大きく変化する糸を使う場合は、「縮むので、水通し前と後、両方測ってください」などとアラートを書きます。アラートがある場合は素直に従いましょう。
一般的な糸であれば、スチームアイロンを当てて、当てる前後でどれくらい変わったかをみておくと安心でしょう。レース編みのパターンは、水通ししてどういう出来上がりになるのか広げて測ってみた方がいいです。
編む前に色々な作業があるのは、面倒で嫌だと思いますが、編み物はかなりの時間をかけて取り組むもの。だから、一日はゲージの日に当ててほしいと思っています。万全を期すことが、いいものに仕上げるための第一歩です。
質問8:複数の模様が含まれるデザインの時、たとえばメリヤス編みの部分、模様編みの部分、両方スワッチを編みますか?
本当は両方取った方がいいですが、難しいですよね。パターンに両方のゲージが載っている場合は、基本的にはメリヤスの方を合わせれば模様編みのゲージも合うのだと思います。パーツごとに模様が異なるデザインは、デザイナーですらゲージをきちんとキープをするのは大変なことです。どこか1箇所でも合わせておくと安心だと思います。
質問9:靴下など輪で編むデザインの時は、スワッチも輪で編みますか?
輪で編む場合と往復編みする場合では、手の加減が変わる人が多いです。自分がどれくらい変わるのかを知っていれば、往復編みのスワッチで問題ありません。私は、輪で編むと手がきつくなるという自分の癖を知っているので、往復編みのゲージより実際はきつくなる想定をして編み始めます。
そして、本番より小さい輪のスワッチを編んでも、大きい輪と小さい輪を編む場合の手加減が違うため、確かなゲージを編んでるとは言い難いです。そのパターン通りの目数をキャストオンして編んでみないと、本当のゲージは分からないものです。
だから、いつも自分は輪編みの時にどうなるのか統計をとっておくことです。
編み物が上達するというのは、想定のゲージで最初から最後まで編めて、いい形に仕上げられるということを指すのだと思います。そのためには、日々、編んだものを観察をしてデータを蓄積していくこと。繰り返しますが、自分の癖を知るために最初にゲージを取る行為は非常に大切です。
質問10:他に言い残したことはありますか?
指定糸であればゲージを取らなくていいと思ってる方がいるようですが、手が変わればゲージも変わる。糸がどんなものであれ、頑張ってゲージを取ってくださいね。