6月 01, 2013

Teardropができるまで

Teardropができるまで

初出: 2013年amirisu 2号
Text by Tokuko

 

amirisu featured @ Teadrop

 

デザインする前に…

    いつも街中を歩いている人や雑誌、テレビを見て、「これが着たい」「これが編みたい」と思ったら簡単なスケッチを書いておきます。本当に簡単なもの!絵が下手なので、ディディールを文章でササッと書いてね。

    たまにそれを見直して、本当に編みたいものを決めていく。そんな流れです。

    amirisu featured @ Teadrop

    今回の作品は、ずっと前から後ろが涙開きに大きくあいているものが作りたくて(だって可愛くない!あれ)、それを黄色のストライプで作ったらカジュアルな感じで着られるのではないかなあと。

    ストライプの感じは、雑誌を何冊かチェックして、大まかに決定!後はどうやって編むかを考えながらディディールを決めていきます。着ることももちろん大事ですが、編むこともとても重要視しています。編んでいて飽きないか、技法や工程が難し過ぎないか、パターンは書きやすいか。この3点は大事です。

    デザイン・糸が決まったら、次はスウォッチよ!

     

    スウォッチ作り

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    糸が来ると、ワクワクします。編地を想像しながら、使う針を選ぶわけですが、必ず3号ぐらいは試してみます。自分が編んでいて気持ちいい針ってあるんです。それを選んで、次は模様のテスト。

    ストライプの間隔をいくつか試して、やっぱり黄色はだいぶ細めにしました。その方が大人っぽいしね。

    アイロンをかけて、ゲージをチェック。私は目数だけキッチリ出して、縦ゲージは編みながら測っちゃう。ちょっと手抜きです。

     

    製図

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    どうやって編むかを決めて、簡単な製図を書きました。最近編んだものが身頃と袖を先に編み、最後にグルッとヨークを編んでいく物が多かったため、そのやり方で出来ないか考えたのですが、後ろの涙開きが上手くやれそうにない気がして却下。普通のセットインスリーブでいくことに決定。カジュアルに着たいので、ウエストシェイプ無し、でもダボッとしない、首回りはボートネック風に。

    身頃の編み方、涙開きのやり方、ストライプの入れる場所。大体のディティールの編み方を決めてから、スタート!最初のヘム、US3号で行けると思ったら、イマイチでUS4に変更。編み始めは、結構何度もやり直します。やっぱりスウォッチと本番は違うものなんです。

     

    身頃途中経過

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    ストライプに入ったころから手がキツくなったようで、サイズが小さくなってしまいました。はい、やり直し!もう一度ゲージを測って、最初からね。

    今回のように、輪編みで身頃を編む場合は、一周がながーいので、ゲージがしっかりしていないとサイズを合わせるのが難しい面もあるんです。物事はなんでも一長一短ということ。

    でもここまできましたよ!実物型紙を今回作っていないので、型紙代わりに参考にした私の洋服を当てながらのチェック。いつも着ているお気に入りなので、この通りになれば必然的に気に入ったものになるって寸法です。袖ぐりの減目まで後少し。

     

    後ろ身頃完成!

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    グルグル輪編み部分から前後に分けて、後ろ身頃を編み始め。このデザインの肝は後ろ身頃の涙開きなので、実際の図を書いて、計算しました。

    減目のタイミングなどは、あとからパターンを書きやすい様、サイズ展開しやすい様、考えて操作しておきます。ほら、11段ずれても大した問題じゃないでしょ!

    また、減目箇所がいくつも重なる込み入った場所は、編みながらパターンを書いていくのが私のやり方。そうすれば、絶対間違いはないの。後で書くのは至難の業なのでね。

    という感じで、編みながら、書きながら、計算しながら、後身頃完成!編地が柔らかいので、繋いでみないと何とも言えない・・・。その点が、少し心配。

     

    身頃完成

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    実は後身頃完成の後、輪編みと往復編みの縦ゲージが変わったらしく、どう測っても涙開き部分が大きい!ここは泣く泣くほどき、往復編み部分からもう一度計算してやり直しました。

    いつも思うのですが、ほどくのが苦じゃない人がニットデザイナーには向いていると思います。でもほどいた分、ちゃんと思った寸法に出来上がって満足。よかった!肩をつないで、早速試着。

    うん、大丈夫そう。これで山は超えた気分。安心して寝られます。

     

    袖完成

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    身頃に比べれば、袖は簡単です。二本編むことを別にすれば!

    私は袖が嫌いなので(だって、袖って長いんだもの)、滅多に袖ありを編むことがありません。

    このセットインスリーブの普通の袖の場合、製図の知識が少し必要ですが、一度覚えれば簡単です。そんなに難しいことはありません。

    後は身頃につなげば完成間近です。

     

    完成!

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    さてさて、完成しましたよ!もちろん、早速試着です。この瞬間、ドキドキします。最後の涙開きの襟ぐりをどう処理するかで悩んだのですが、お風呂でふと良い案が浮かびi-cordでグルッと編むことに決定。少しめんどくさいのですが、涙開きがきれいに出るし、ボタンホールも一緒に出来上がるし、いいアイディア!

    この技法はだいぶ前に他のデザイナーのパターンを編んだ時にやったもの。こうやって、編めば編むほど、自分のデザインの肥やしになるってわけです。これからも、たくさん編まなくちゃね。

    さて、後はパターンを書くだけ。計算が苦手なので、頭が痛い。。。。

     

    パターン書き

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    大嫌いな計算の時間がやってきました。紙と鉛筆と電卓が必需品です。自分の編んだSサイズのパターンを完璧にした後、サイズ展開に入ります。 

    まずは、それぞれのサイズを決め、詳細なサイズ表を書きます。そしてひたすら計算計算。全ては計算で出していくんです。つじつまを上手く合わせながら、サイズを微調整しながらの作業。毎回、数学が苦手なのに、どうしてこんな仕事をしてるんだろうと恨めしく思います。最後は紙が真っ黒になるまで書き込みをして、完成。

    テクニカル編集者のチェックが入るので少しは安心ですが、大きな間違いがないように、何度も見直します。サイズ展開は誰にも教わったことがないので、これも英語パターンをたくさん編んだ経験値からやっています。これを教えてくれるところあったらいいのにねー。

    ということで、パターン完成しました。たくさんの人に編んでもらえると嬉しいな。これを春に着るのが楽しみです。