Ukraine, My Homeland - Issue 25
文章: Teti Lutsak
2022年2月24日の朝、生活が一変しました。ニュースを見た瞬間に、それまで重要に思えていた心配事はすべて消え去りました。
ロシアが、私の故郷ウクライナに侵攻したのです。
最初の数日のことは、もうあまり覚えていません。眠ることも、働くこともできませんでした。ぼんやりと霞んだ日々の中でやっていたのは、ウクライナにいる家族や友人に電話をかけることと、ニュースをチェックすることだけ。みんなが無事かどうか、何か自分にできることはないかを尋ねるために数時間おきに電話しました。しかし、安全なオランダの自宅からできることは、ただ心配することだけでした。
パターンのリリースを延期し、やりかけのプロジェクトも中断しました。いてもたってもいられなかった私は、ポーランドの国境まで駆けつけて家族を迎え入れるつもりで、荷物をまとめて準備をしていたのです。しかし家族はウクライナから逃げることを拒否しました。家と生活を捨てることはできなかったのです。
侵攻が始まってから2週間後、編み物を再開しました。パターンを書くことには集中できなかったので、新しいデザインを編み始め、流れに任せることにしました。編み物は魔法のような力を発揮し、しばらくの間ニュースから離れられるようになりました。そんな時に生まれたのが、Javelinプルオーバーです。槍の切っ先のような模様は、強さと抵抗、鎧を意味していて、まさに壊れた心が必要としていたものでした。崩れ落ちてしまわないため、家族の支えになるため、私は編み続けました。
編み物の再開と同時に、インスタグラムで発信も始めました。なぜこの戦争がウクライナの人々の「ジェノサイド」なのか、なぜ世界は黙って見過ごしてはいけないのか、なぜ平和のために諦めてはいけないのか、そしてこの戦争が一夜にして始まったのではなく、複雑な歴史的背景があることをフォロワーに向けて説明することにしたのです。
ウクライナ難民とウクライナを支援するお金を集めるため、ニットのサンプルをたくさんオークションに出しました。びっくりされるかもしれませんが、あなたや私のコーヒーたった一杯分の寄付で、ウクライナで暮らす誰かの数日分の食料を買うことができるのです。
発信することで地に足をつけられるようになり、編み物は気を強く持ち続ける助けになりました。編み物を通じてウクライナの文化と遺産を伝えることは、私なりの闘いの術なのです。そして、自分自身が戦争を乗り越えるための手段でもありました。
編み物コミュニティーからの反応は驚くべきものでした!メールの受信箱は次々と届くメッセージで溢れかえるほどでした。世界中の人々が応援に駆けつけてくれたり、体験談をシェアしてくれたり、支援を申し出たりしてくれました。見ず知らずの方もいました。いただいたメッセージの一つ一つに心から感謝しています。一生忘れることはないでしょう。
また、ウクライナ人に心を開いて、家に迎え入れてくれた人々にも感謝したいと思います。私たちと共に立ち上がってくれてありがとうございます。
光はこの暗闇に打ち勝つはずです。打ち勝たねばならないのです。ウクライナと、世界中の人々全員に平和がやってきますように。
Support Ukraine Nowは、ウクライナを支援するための多くの情報を提供しています。活動の内容ごとにさまざまな団体が掲載されており、現地での支援の方法についても紹介されています。
Tetiはオランダ在住のウクライナ人デザイナー。彼女のデザインは今号の61~62ページに掲載されています。
Photos courtesy of the designer.