自然を織りこむアート
Text and photos by Rebekka Seale - Camellia Fiber Company
ここアメリカの南東部では、季節は激しく、華々しく移り変わります。うだるような夏の暑さのなかでは、冬の薄光を思い起こすのはむずかしく、黄金に輝く秋の日々は、春の嵐とはほど遠く感じられます。
四季を、ゆったりとした午後を、海辺への散歩を、もっとじっくりと楽しまないと、記憶がすぐに薄れて忘れてしまいそうになります。そこでお気に入りの糸と自然のなかで集めた思い出を、織り物にしたてることで、休暇や、美しい季節や、今この瞬間を記憶に留めておくことができる気がします。
この枝をもちいたシンプルな織り物に必要なのはただ、二股になっている適当な大きさの枝、毛糸の切れ端少々、太い毛糸が通せる針、そして屋外から集めてきた自然の贈りもの(枯れた花、鳥の羽、葉や、茎の付いた種など、なんでも大丈夫)。枝が機(はた)の役割を果たします。
まず、枝に経糸を張ります(その間に色々な枝葉や横糸を通して織り物にします)。丈夫で切れにくい、しっかりとした糸を選び、枝分かれの根元部分からスタートしましょう。枝に糸を結び付け、左右の枝それぞれに巻き付けては反対側へ移る、を繰り返します。枝には2回ずつ巻き付けたほうが安定するでしょう。経糸はピンと張っている必要がありますが、張り過ぎて枝がしなってしまわないように注意してください。
次に、織りはじめの毛糸を選びます。どんな糸でも大丈夫。極太でも、ファンキーな変わった糸でも、極彩色でも、自然の色でも。正解も間違いもありません!針に糸を通してから、経糸に交互にくぐらせていきます。横糸を枝に向かって打ち込むために、フォークや櫛を使うとよいでしょう。色を変えるときは、端糸を残して糸を切り、織り上がった後で始末できるようにしておきます。新しい糸を針に通して、さあ、楽しんで。
自然の素材はどんな順番でも、どんな位置にいれても大丈夫。最後に付け足してもいいのです。このアートの良いところは、すべてが作り手の感覚次第であること。織り上がったら、最後の糸を切り枝に結び付け、その他の端糸を織り入れます。壁に掛けても、カゴや花瓶に飾ってもよく、贈り物にしてもステキ。
美しく儚い時間を思い出させてくれる、そんな小さなアートです。