2月 26, 2025

あの時私は - 合唱コンクール

あの時私は - 合唱コンクール


高校生になったらきっと楽しい学校生活が待っていると期待して高校に入学したものの、高校一年生の私は担任教諭とは全く反りが合わず、とにかく反抗的な態度で毎日を過ごしていた。いい成績で入学したのに、入学してしまえばこっちのもの!的な気持ちで大人なら眉をひそめるであろうちゃらんぽらんな学習態度、例えば覚えればテストはクリアできるような教科は大方寝て過ごしており、公民の担当だった担任教諭にとってはきっと腹立たしい生徒だったに違いない。さらに覚えるのが大得意な私は、授業は寝ていてもその手の試験は常に高得点だったのも気に入らなかった要因だと思う。

今よりも反骨精神満載だった高校生の私は、面白くない授業をしているそっちが悪いんでしょうという気持ちでおり、それは正しいと言えば正しいのだが、今となってはその態度が随分先生の気持ちを傷つけてしまったのだろうと推測している。

 

そんな跳ねっ返りの私を何とか学校に押し込めようと考えたのか、担任教諭が話し合いもなしに、学校の合唱コンクールに向けてのクラスのまとめ役を私ともう一人の男子生徒にすると決めてきた。理由は、私が音楽をやっているから。私はピアノは弾けないし、指揮をやっているわけでもないと突っぱねたが許されず、渋々その仕事をやることになった。

やる気のない生徒達をまとめるのも大変だったが、なんともう一人の男子生徒がコンクールの数日前に家族旅行に行って留守にするというハプニングがあり、とにかく私なりに必死に仕事をこなしたような記憶がある。

 

コンクールの結果やその時歌った歌などは全く覚えていないのだが、出番が終わったあと教諭は私を見てニヤッとした。その顔を覚えている。

教諭は私にありがとうと言って欲しかったのだろうか。楽しかったと言って欲しかったのだろうか。そして私はそのようなことを言うべきだったのだろうか。誰かに何かを決めつけられたり、枠に押し込められることに今でも耐えられないのだが、恐らくこれが、私がそのことを心底嫌いだと認識した最初の出来事だったのだと思う。

担当教諭の科目は高校一年で終わり、そこから彼とは一度も会話をしていない。