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ずっとこなかった秋が、急に居座りました。仕事がひと段落して、いくつかのことを手放しました。キャパを少し越えていたなと思うものを、感謝とともにそっと返上。「お世話になりました、ではまたいつか」というきもちです。
そしたら、ぽっかりと余白ができました。余白。しばらく縁のなかった言葉です。
カレンダーを開くと、空白が目立ちます。あんなに虹色の予定がびっしりだったのに。
つい、何か入れたくなります。誰かに会ったり、展覧会を見に行ったり。勢いで旅のチケットまで取りそうになります。海外とか。
あぶないあぶない。そこで一旦、わたしは自分をいさめます。ちょっと待て。落ち着け。ほんとうはまず、足元を整えたかったんじゃなかった?
朝、ゆっくりコーヒーを淹れ、床をさっと掃除し、洗濯ものを慌てず干して、植物に「おはよ!」と声をかけながら水をやる。そして、レコードプレイヤーに針を落とす。
そう、「ていねいな暮らしプレイ」です。プレイでもいい。それをやりたかったのでしょう?
今は、カレンダーの白い枠をすぐに埋めようとしないでいようと思います。白のまま置いておく勇気。
わたしは昔から「すぐ埋めたがり」でした。沈黙がくるとついしゃべりだすし、予定がなくなると反射的に何かを入れてしまう。空白を放っておくのが、どうにも落ち着かない。
でもさ、詰めこまなくていいのでは。なにもせずにいる時間って、目に見えないところで、何かが育ってる。
思い返せば、転機っていつも何もないときにふと訪れました。居場所がなくなったり、予定が抜けたり、人との関係が途切れたり。そのたびに慌てて埋めようとしたけど、結局どうにもならなくて。余白に甘んじていたときに、思いがけない出会いが、必ずあった。
きっと、時間に風が通っていたから。新しい景色を見せるための、準備の風。
だから今は、空白を何かで覆わずに、ただ置く鍛錬をしたいです。鍛錬って、さすがに大袈裟ですが、埋めたがりのわたしにはそのくらいの心構えが必要かもしれません。
答えをすぐに出さずに、ぽかんとしている練習。頭を止めたいときは、手を動かしていると落ち着きます。
あ、そうでした。編み物って、そういうときにぴったりでした。
よし、秋もの、編み始めます。