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旅先で適当に選んで買ったものが、その後一番のお気に入りになってしまうということがある。多くの人に共感してもらえるのではないかと期待しているけれどどうだろう。
わたしの場合はハワイで買ったショートパンツがそれだ。ホノルルで仕事の空いた時間に海岸に遊びに行くことになり、急に必要になった。目の前の店に飛び込み、まぁこれでいいかというようなものを買った。
あれから6年経った。こんなに長いつきあいになるとは思っていなかった。
暑い季節、そのショートパンツはわたしの部屋着のスタメンだ。丈が非常に短いので外で履くのは海に行く時だけ。他にも似たようなものを持っているけれど、ハワイで買ったそれに比べると、肌触りが良くなかったり、長さがどこか違ったり、ウェストがきつすぎたりゆるすぎたり。ハワイ生まれのその子はまるで肌そのもののように馴染むのだ。とはいってもオーガニックコットンであるだとか、何かとても上質なものということでもない。悪くはないが、とても良いものでもない。でもとっても気に入っている。
そういうものってないだろうか。
あまりにも履きすぎてブランドのタグがなくなってしまった。店の手がかりも全くない。洗濯中は、仕方なく他のものを履く。けれど、そのショートパンツが乾くまではそわそわとしている。そして乾くとあっという間に履き替えてしまう。
あぁもう1枚欲しい。でもこれ一枚なのだ。
わたしは、おばあちゃんになっても履き続けると思う。もう、運命の一枚と言ってもいい。運命はこうやって、奇跡の出合いをふいに差し出すのだ。ある日突然、探しもしていないときに。