Undulate by Eri Shimizu
2023年出版の雑誌amirisu 27号に掲載。
Undulateはモックネックの首元、モヘヤがレイヤードされた袖口、背中のラインなど、かわいいポイントがぎっしり詰まったプルオーバー。デザイナーのEriさんにお話を伺っていきましょう。袖のケーブル模様について裏側を表に出した理由も教えてくださいました。
amirisu: このデザインのインスピレーションについて教えてください。
Eri: テーマが音楽と聞き、すぐにふたつのニットのイメージが浮かびました。ひとつはスイッチをオンにするような、リズムのあるもの。気分がうきたつポジティブなテンポや歌詞、ついくちずさみたくなるメロディーが浮かびました。
もうひとつは、スイッチをオフにするような、自分の足元にふと視線を落として自分自身を見つめ直すような、そんな瞬間となる静けさのあるもの。今回はそのアンビエントを自分なりに表現してみたいと思いました。
海や草原に立った時に聞こえる音、風が乾いた草をなでる音、波の上を通り過ぎていく音、そして少し古くなった錆びついた金属を揺らす音。それをケーブル模様で具現化してみました。
amirisu: デザインの過程で、どんな苦労や工夫がありましたか?
Eri: 今回は脱構築の一面も落とし込み、裏側を表として出したいと思いました。くっきりした模様は内側に、外側にはまるで雪の跡のようなぽつぽつとやわらかな模様だけが浮き上がってきます。そのなかに少しニュアンスが出るように、ケーブルにはラップで糸が渡るようにしました。
表面のケーブル自体がとても可愛いステッチなので、編まれる方の好みでどちら側を表面としても着用できるように考えました。
amirisu: もう一枚編むとしたら何色で編みますか?
Eri: このパターンを考えていた時は、白や黒のような無彩色を思い浮かべていましたが、ケーブルの陰影も面白いだろうなと思います。今なら、コバルトブルーのような色で編んでみたいです。
amirisu: 編み物をしながら聴く音楽、編み物が捗る音楽はありますか?
Eri: THEアンビエントではなく、アンビエントに近い、だけど、展開があるような音楽が好きです。その音に加え、学校からのこどもたちの声や、耕運機の音が聞こえたり、そんな音を聴きながら、週末の日中は編み物をしています。
今回、自分が好きな音楽やひとりの時間にかけているものはなんだろうと改めて思い返すと、景色だったり映画のシーンだったり、その音を聴くと情景が浮かぶような音を好んでいたように思います。アンビエントや実験音楽の要素を取り入れたいわゆるポストロックが好きです。
Eriさん、ありがとうございました!