6月 01, 2014

Bookish. - Issue 4

Bookish - photo by Jared Flood for amirisu

ようこそエリザベスの世界へ:編み物界のスター、エリザベス・ツィマーマン入門

ブルックリン・ツイードのオーナー、ジャレドによる寄稿。

 

Bookish - photo by Jared Flood for amirisu

ブルックリンへ引っ越したばかりの頃、エリザベス・ツィマーマンのKnitter's Almanac(編み手のための年鑑)」という小さな本を、地元の毛糸ショップのオーナーに紹介された。その一冊(と灰色の毛糸を幾つか)を手にショップを出たとき、エリザベスとの出会いが自分と編み物との関係を変えるだけでなく、将来の仕事まで変えてしまうとは思ってもみなかった。

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エリザベス・ツィマーマン(または、ファンの多くが「EZ」という愛称で呼ぶ)は、編み物の世界におけるヒロイン(スター)の1人と位置づけられている。彼女の活躍は、1950年代から自費で発行されたニュースレターによってひっそりと始まった。この編み物愛好家のためのニュースレターは、その後40年間にわたるキャリアの礎になる。

エリザベスのニュースレター(そして、後には書籍やテレビ番組)は毛糸や編み物の枠を超え、機知と独立的な思考に溢れていた。エリザベスはいつも、彼女特有のウィット、率直さと知性を融合させた口調で、「目隠しを外し、腕まくりをし、チャレンジの角(ツノ)を両手で掴みなさい」と読者たちに語りかけていた。初期のころから、彼女のパターンは一般的な書き方ではなく、独特な力強さのある「やってごらんなさい」的なスタイルで、創造的な手法や解決策に自信を持って取り組むようにと読者を勇気づけた。文面からは、終始その人柄と自信がにじみ出ている。

エリザベスはまた、パターンにヴィジュアルをふんだんに取り入れた。使い慣れたチャートを使う代わりに、パターンに手描きのダイアグラムを散りばめた(詩的な素直なタッチで描かれたフェルトペン画で、それ自体が美しい)。それを見ると、彼女がデザインの構造を理解していたことが伺える。

存命中に増え続けた献身的なファンに加え、2000年以降の10年間、ブログやRavelryを始めとするSNSで繋がる若いニッター達の間で、新たな人気に火がついた。エリザベスの功績に対する新たな賞賛、ファンの増加は、彼女の創作やメッセージが時代を超越している証である。エリザベスのパターンを編んだプロジェクトがRavelry上に数千、数万あることも、これを証明している。

1999年に亡くなってから約15年になるが、今日でも彼女の遺産は輝きを失っていない。エリザベスから大きな影響を受けた者として、彼女のメッセージがこれから何世代にもわたり、編み手やウール愛好家たちの心、頭、そして手を動かし続けるのを嬉しく思う。

 

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アメリカでは過去10年間でエリザベスに関して多くの記事が書かれたが、まだ作品に触れたことのない読者の方々のために、その世界への入り口になりそうな特に人気の高い3つの作品を紹介する。

 

ベビー・サプライズ・ジャケット

Bookish - photo by Jared Flood for amirisu

初版は19681月、ベビー・サプライズ・ジャケット(BSJと略される)は一番有名、かつ最も編まれている作品の1つである(この記事の執筆時点でRavelryには20,798作品が存在)。

折り紙に着想を得たBSJは、EZ3Dパズル好きが現れた好例だろう。この典型的な赤ちゃん用カーディガンは、モジュールをうまく組み合わせ、1つのピースを2カ所ではぎ合わせて作られる。綴じはぎは肩から袖口まで。ストライプを施してみたり、ブロックごとに別な色で編んでみたり、縁取りをしてみたり、カスタマイズの可能性は無限にあり、しかも余り糸を繋ぎあわせて編むのにも最適(エリザベス自身、沢山余り糸を持っていたに違いない)。

1つ編むだけでは済まないという表現ほど、この中毒性のあるパターンにピッタリの言葉はないだろう。

 

 

2月のベビー・セーター 

2本の針で編むベビー・セーター」は1981年出版の「Knitter's Almanac」にて発表されたパターン。この本は月ごとの構成で、エッセイと季節に合わせたパターンが紹介されている。2月に紹介されているため、この名前で呼ばれることとなった。

BSJと同様、2007~2008年頃にオンライン上の口コミで人気が広がり、次いで大人用のパターンも発表されさらに人気を博した(パメラ・ウェインによる「2月のレディ・セーター」)。トップダウンで、ほぼシームレスに編むこのセーターは、2本の棒針で編むことができ、ガーター編みのヨーク部分とシンプルなレース模様が特徴となっている(7目のリピート模様なので、色々な展開がしやすい模様である)。

 

 

πショール 

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もっと野心的なものに挑戦してみたい人には、πショールをお勧めする。やはりKnitter's Almanac(7月)に掲載されている、エリザベスの代表作とも言えるショールは、幾何学のπから展開した新しい発想で、円形のレース・ショールを編む方法を紹介している。一定の間隔で挿入されたリング段のみで増目するので、中間の広い部分は模様に集中できる。つまりエリザベスのこの手法によって、様々なデザインを可能にする白いキャンバスが出来上がったのだ。

直感的に編め、ショールで実験してみたい人に適したパターンとなっている。中心からスタートし、ずっと表段のみで円形に編み進めるので、模様を間違えていないか確認するのも簡単。エリザベスはこの点をとても気に入っていたようだ。

Bookish - photo by Jared Flood for amirisu

 

 

 

関連リンク

Schoolhouse Press (http://schoolhousepress.com): 

ウィスコンシンにある家族経営のショップは、現在エリザベスの娘であるメグ・スワンセンが経営している。