11月 01, 2013

Bookish. - Issue 3

Bookish by amirisu

今回は本としてとても気に入っている2冊を紹介します。この2冊から今回のテーマ、伝統的なテクニックを使って新しいデザインをする、が出てきた気がします。

いずれの本も、美しい写真と場所にまつわるストーリー、そしてオリジナルパターン、というフォーマットを取っているという点でも特徴的。さて、中身を見てみましょう!

 

Colours of Shetland by ケイト・デイヴィス


自費出版
, 14ポンド, 2012 (絶版*)

スコットランドの原野を散歩したい、という気持ちが高まったときにはいつも訪れているケイトのブログ(皆さんが想像するよりも頻繁に)。彼女のブログを見つけるより以前から、スコットランドの写真集を買っては眺めていたのですが、正直いってブログの写真のほうがステキです。なので、本が出たと聞いて当然のように即購入。期待通り、シェットランドの風景を捉えた写真が本当に美しく、そこからどのようにケイトがインスピレーションを貰っているのかが垣間見れました。

本は5つのパート(スティーヴンソン灯台、パフィンという鳥、ウルスラという植物、ノースマヴィン海岸、そしてスキャトネス遺跡)と、エッセイやテクニック集で構成されています。それぞれ写真とストーリー、テーマに沿ったパターンがセット。いつも感心するのですが、彼女の色のセンスに脱帽です。特にパフィンという鳥のくちばしからデザインしたセーター、そしてノースマヴィンの色を取り込んだショールがステキ。色合わせが完璧すぎて、まったく同じ色で編みたくなるものばかり。チャートはフルカラーなので、とても見やすくなっています。

シェットランド糸は日本でも人気だし、日本語版が出ることを強く願っています。とてもオススメ!

*印刷版は絶版ですが、書籍自体はRavelryでPDF版を購入することができます。
https://www.ravelry.com/patterns/sources/colours-of-shetland/patterns

 

 

 

アイスランドのハンドニット by ヘレネ・マグナッソン

Voyageur Press, 2013 (絶版*) 

何年も前、友人がアイスランドの写真集を片手に旅の話をしてくれて、それからずっと旅行で訪れてみたいと思っていたものの、編み物と結びつけて考えてみたことは殆どありませんでした。それが一昨年くらいから、イゾルダやジャレッドといった有名なデザイナー達がアイスランドの写真をブログに載せているのが目に付きはじめ、いま海外の編み物コミュニティで人気の場所なのだと気づいたのでした。なんでだろう、1年中セーターが着れるから?

そんな折りの去年の秋、ヘレネが前作「アイスランド・ニッティング」を書評に、と送ってくれました。ローピセーターは日本でもとても人気だけれど、ローピ以外にも様々な編み物の手法、歴史や文化があることを知りました。複雑なインターシアやレース模様は、人々の暮らしにとても深く根ざしています。

本作「アイスランドのハンドニット」ではこれらの手法を使いながら、ミトンなどの伝統的作品だけでなく、新しいニットウェアにも挑戦しているヘレネ。カラーワークのテクニックは写真で親切丁寧に解説されています。この本を読んだら、気がつくとアイスランド行きの航空券を買っていた、なんてことになるかもしれません。

*パターンはRavelryで購入可能
https://www.ravelry.com/patterns/sources/icelandic-knitter