11月 01, 2016

Bookish. - Issue 11

Bookish by amirisu

Text by Meri
初出: 2016amirisu 11

 

The Book of HAPS

著者: ケイト・デイヴィス
ソフトカバー、122ページ、3,800

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Bookish by amirisu

7月にリリースされたKate Daviesさんの新刊は、イギリス北部に伝えられる伝統的なショール「ハップ」を掘り下げた本。(よく「ハップショール」というのを目にしますが、これは「ショールショール」と言っているのと同じなのだとか。)スコットランドでは今でも身体を温かく包み込む、という動詞としても使われる「ハップ」。その歴史的意味合いや変遷を紐解きながら、では現代のハップとはどんなものだろう?というところまでアプローチした、意欲的な1冊となっています。本の4割くらいは読みもので、6割は世界中の人気デザイナーがこの本のためにデザインしたハップが紹介されています。

シェットランドのレースショールというと、日本では一般的に真っ白で繊細なドレッシーなものをイメージするかもしれませんが、それは後で生まれてきた進化系であって、もともとは地元で採れた羊の毛を手紡ぎし、ガーター編みの厚みのある編み地によって防寒性を高めた、女性の仕事着だったということ。頭と身体をすっぽりと覆い、保温性抜群。働く女性の必需品だったハップ、という部分に深く惹かれ、この冬はそんな1枚を私も編んでみたいなと思いました。

紹介されているショールのなかでは、Tom van DeijnenHexa Hapの面白い六角形の構造に惹かれ、またJen Arnall-CullifordNut-Hapの色使いがとても気に入りました。使いやすそうなのはGudrun JohnstonLang Ayre。好きな色でも遊べそうだし、身体にグルグル巻きしたら温かそう(糸も手に入りやすい)。

ショール、いえ、ハップ好きにはたまらない一冊だと思います。ぜひお手に取ってみてくださいね。