Local Craft Shop - Issue 21
A Verb for Keeping Warm
Oakland, California
編む、紡ぐ、織る、染める、縫う、そしてその他の様々な行為はいずれも温かい衣服を作るための動詞です(verbs for keeping warm)。カリフォルニア州オークランドにあるA Verb for Keeping Warm (AVFKW)は家族経営のテキスタイル工房で、店舗、教室スペース、草木染め工房、そして裏には染料となる植物を育てる畑があります。広々とした店内では、オリジナルの草木染め糸や原毛、ファブリック、染料などを販売しています。オーナーであるクリスティン・ヴェジャーとエイドリアン・ロドリゲスのテキスタイル、植物、キノコ、そしてコミュニティを愛する気持ちが実現した夢の場所です。
クリスティンはテキスタイル・アーティスト。自分のテキスタイルにかける情熱を皆と共有したいとお店を始めました。2015年には『The Modern Natural Dyer』という初の著書を出版し、それをベースに様々な草木染めの教室を行っています。本には、染めたウールを使ったアクセサリー、帽子、染めたリネンで仕立てるワンピースなど、幅広いプロジェクトが掲載されています。
クリスティンはパッチワークキルトや編み物といったテキスタイルアートに囲まれて育ちました。子供の頃、家や近所では編み会やキルト会が頻繁に行われていましたが、そこは友情を育み、お互いの身の上話をしたりという社交の場でもありました。現在、AVFKWを通じ、同じようなコミュニティの絆を育むきっかけづくりをしたいと彼女は考えています。一方パートナーであるエイドリアンは父親と庭仕事をしながら育ち、植物に興味を持ちました。北カリフォルニアに住みはじめて以来キノコの不思議や美しさに魅了され、今では植物やキノコ類に関する知識を草木染めのワークショップで教えています。
AVFKWの名が知られるようになったのは、草木染めのオリジナル毛糸の人気が高まってから。オリジナルで作っている8つの糸のうち4つは、農場から加工まですべてアメリカ国内で行っています。工房で染められたこれらの「ファームヤーン」はアメリカのテキスタイルの伝統を守り、同じテキスタイルアート分野で頑張る人々を応援するというスピリットの現れといえます。
2020年10月、クリスティンとエイドリアンは待望の新刊本、『Journeys in Natural Dyeing: Techniques for Creating Color at Home (草木染め旅: 自宅で色をつくる技法)』を出版します。これは第1作をさらに深化させ、読者を身の回りの植物へと誘うガイド本。クリエイティブなコミュニティの発展や、テキスタイルの持続可能性に寄与する本となることを、願っているとのことです。
すべての色が天然染料から生みだされたとは思えないほど、カラフルな糸に溢れるAVFKW。サンフランシスコ近郊へ旅することがあれば、ぜひ訪れたい場所です。
A Verb for Keeping Warm
6328 San Pablo Ave, Oakland, CA 94608, United States
https://www.averbforkeepingwarm.com/
All photos are courtesy of A Verb for Keeping Warm