6月 01, 2018

Bookish. - Issue 16

Bookish by amirisu

Text by Meri
初出: 2018amirisu 16

 

Marlize: A new Direction in Knitting by Anna Maltz

2018年、自費出版
ISBN: 978-0-9955994-1-3

Anna Maltzさんのウェブサイトから購入可能

Bookish by amirisu

 

まず言いたいことは、今年の新刊本の中で今のところダントツのお気に入りだということです。 彼女の前作『Penguin: A Knit Collection』の大ファンとして、この本もとっても楽しみにしていました。期待は裏切られなかった! 

Marlisle (マーライル)」ってそもそもなんのことでしょうか? それはある技法を表現するためにAnnaが作った造語なのです。糸を2本取りにして編んだ編み地を表す「marl」と、編み込みの技法の1つであるフェアアイルの「isle」をくっつけたもの。この本のために沢山のリサーチをしたけれど、他のどの本にもこの技法が見つけられなかった、というAnna。それは名前がないからではないか。それで名付けてあげることにしたそうです。確かに、Marianne IsagerさんのNewspaperセーターのように、似たような技法で編んでいるものは見かけたことがありますが、  これを新しい技法として認知することで大きな可能性が広がります。それにとても興奮しています。

本書には、Marlisleの技法のおかげで生み出される大胆な幾何学模様を配した、11のパターンが掲載されています。どれを最初に編むかは本当に難しいですが、私のお気に入りはEss ショール(格好いいフリンジの付いたストライプショール)Kraaiという指なしミトン、またはTremblingという丸ヨークセーターです。どのパターンも思いがけない糸が組み合わせられているのも特徴。素材の組み合わせや色の組み合わせが面白いのです。チョコレートブラウンに明るいオレンジの2本取りがあんなに素敵な編み地になるなんて!

可愛いパターンだけでなく、Annaのユーモアに飛んだ文章も本書の魅力。糸選びやデザインのインスピレーション、技法の説明などもイギリス人らしいウィットに飛んだ口調で書かれています。作り目や伏せ目のちょっとしたコツなど、一言アドバイスも散りばめられています。

ぜひお近くの毛糸ショップでお手に取ってみてくださいね。編み物本コレクションのなかで、新しい宝物になるのではないでしょうか。