「旅先で買った美しいMalabrigoのレース糸で何を編もうか悩んだときに、Citronのデザインを思いつきました。編み物のデザインにシャーリングを取り入れるというアイデアに取り憑かれていたし、繰り返しの多いパターンが好きだし、このレース糸1カセだったら小さなショールを編むのにちょうど良い量だし… というのを組み合わせたのが、Citronです。
Citronのデザインは、今までにないくらい珍しく、すべてのプロセスが計画通りにピッタリとはまるものでした。模様もカンペキ、計算もピッタリ、そして頭で想い描いたその通りに出来上がりました。今思えば、デザインがそんなにスムーズに行ったことは、後にも先にもそれっきりだったかもしれません！
大勢の人がこのパターンを自分のものにして、素敵な作品を生み出してくださっているのを見るのはいつも感無量です。Citronをリリースした当時、私はまだ若葉マークのデザイナーでした。最初の週だけでRavelryに100以上のプロジェクトがアップされました。新しいプロジェクトが次々に生み出されるのを見てはワクワクしていた時のことを、今でも覚えています。どれが一番お気に入り、ということはないのですが、手紡ぎの糸で世界で唯一のCitronになっていたり、ストライプに編まれていたり、ビーズなどでオリジナリティを出していたり、というのを見るのが大好きです。自分や親しい人のウェディングショールをCitronで作っている方々までいて、本当に感激です。
私にとっては、色々な可能性の扉を開けてくれたパターンでもあります。11年前、緑色のレースの小カセを眺めながら何を編もうかと想いを巡らせていたとき、こんなふうにデザイナーの道が開けるとは想像すらしていませんでした！」
Photo courtesy of Hilary Smith Callis.